平成15年3月文部科学省に設置されました「特別支援教育のあり方に関する調査研究協力者会議」は、「今後の特別支援教育のあり方について(最終報告)」を提言いたしました。
その基本的方向は、障害の程度等に応じ特別の場で指導を行う「特殊教育」から障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う「特別支援教育」への転換を図るというものです。
そのことは、「特殊教育」という狭い分野で行われてきた教育を「特別支援教育」という通常の学校と一体となった全体での教育に転換を図るものであり、障害のある子に対する教育が部分から全体へシフトするというものであります。
また、この報告では、障害のある子供を生涯にわたって支援する観点から、一人一人のニーズを把握して関係者、機関の連携による適切な教育的支援を効果的に行うために、教育上の指導や支援を内容とする「個別の教育支援計画」の策定、実施、評価が重要であるとしています。
そのため、障害のある幼児・児童・生徒の療育・教育に関わってきたものには、今後教育関係との連携のみならず医療、福祉、労働、地域等の連携が必要になってきました。
これらのことをふまえますと、今までのような障害種別の研究や、各機関ごとの研究も不可欠ではありますが、それらを総合的に併せた研究会が必要となって参ります。
そのような情勢の中で、昨年6月に発足いたしました「北海道特別支援教育コーディネーター研究会」は、発足して間もないのにすでに会員が200名を超える大きな研究会になって参りました。このことは、多くの教職員が特別支援教育への期待と使命を感じ馳せ参じた結果ではないかと考えております。
また、この会は「特別支援教育コーディネーター研究会」と銘打っておりますが、会員の多くは「特別支援教育コーディネーター」ではないところにも一つの特徴があります。
さらに、この会には、教職員のみならず、保護者、関係機関の方も入会するようになってきています。
そして、「特別支援教育コーディネーター」以外の教職員や保護者、関係機関の方から、「会の研究内容を、特別支援教育コーディネーターに絞ったものでなく、特別支援教育全般に関するものにしていただきたい」「会の名前をもっと幅のあるものにすると多くの職種の人が入りやすくなるのでは」等々の声が寄せられております。
そこで、多くの方のニーズに応え、この会を発展的に拡大して新しく、今まで北海道において障害のある幼児・児童・生徒等の自立に向けて研究・実践に携わってまいりました関係者が一堂に会して実践交流や研究等を行う学会を立ち上げることにいたしました。
この学会のコンセプトは「乳幼児から卒業後まで」「一人一人のニーズを大切に」「地域で一貫して」「関係機関連携のもとに」「障害のある人を支援する」というものであり、従来の研究会と異なり、地方分権の時代にふさわしい、地域ごとの研究を大切にした会にしていきたいと呼びかけ人一同考えている次第です。
どうぞこの趣旨をお酌み取りいただき、多くの方がこの学会に集われ、北海道の特別支援教育発展のために寄与されることを期待いたします。